小説を楽曲化するという斬新な制作スタイルや楽曲の良さがじわりと拡散。ここに来て一気に火が付いた。
新人として異例のヒットを飛ばす2人組ユニットYOASOBI。ボカロP(ボーカロイドプロデューサー)のAyaseがコンポーザーを務め、幾田りら名義でシンガーソングライターとしても活動するikuraがボーカルを担当する。
2020年の総合ソング・チャート『Billboard JAPAN HOT100』では、YOASOBIの『夜に駆ける』が1位を獲得。年間チャート発表開始以来、シングル盤をリリースしていない楽曲が首位となるのは史上初の快挙となる。
出典:2020年の総合ソング・チャート『Billboard JAPAN HOT100』
YOASOBIの『夜に駆ける』は、TikTokでの拡散が誘因となり、3月頃からストリーミングと動画再生でポイントが急上昇。現在、ストリーミングは累計2.7億回再生、MVは1億回再生を突破するなど今なおロングヒットが続いている。
2019年11月活動開始。コンポーザー“Ayase”とボーカリスト“ikura”による「小説を音楽にする」クリエイターユニット。物語投稿サイト「monogatary.com」の小説を原作とし、その世界観を音楽・映像で表現。2019年11月に第一章「夜に駆ける」のMVを発表すると、公開1か月でYouTube再生100万回突破、Spotifyバイラルチャートで1位を獲得するなど話題を呼んでいる。現在、第二章楽曲「あの夢をなぞって」を公開中。コンポーザー“Ayase”は、自身のボーカロイド楽曲「ラストリゾート」がYouTube再生250万回を超え、初EP『幽霊東京』がiTunesアニメチャート3位を記録。ボーカリスト“ikura”は“幾田りら”として、総再生数2,700万回を超えるユニット“ぷらそにか”に参加。“東京海上日動あんしん生命”CMでの歌唱など、一度聴いたら耳を離れない歌声が注目を集めている。
話題のYouTubeコンテンツ『THE HOME TAKE』
アーティスト自身によるSNS発信や、アーティストの自宅やプライベートスタジオから一発撮りで届ける話題のYouTubeコンテンツ『THE HOME TAKE』など、ネットの積極的な活用による後押しも効果を発揮
「とてもうれしいです。もちろんたくさんの方に届いてくれたらいいなという気持ちで作りましたけど、まさかそこまで聴いていただける楽曲になるとは思ってもみなかったので。自分の予想をはるかに超えてくれました」
出典:YOASOBIのAyase
ボカロPとして活躍し人気のあったAyaseは中高生のファンが多く、その影響で「夜に駆ける」は若年層に利用者が多い動画SNS「TikTok」を基点に人気が広がった。ストリーミング型の音楽配信サービスで10代リスナーをどんどん取り込み、20年1月には音楽配信「Spotify」の日本バイラルチャートで1位を獲得。
ボーカロイドのシーンは閉鎖的なところもある。だからこそYOASOBIでは、J-POPや洋楽を聴いている人ともつながりたいと思っていました。YOASOBIからボカロシーンに興味を持ってくれた人もいるみたいで、垣根を取り払えそうな可能性は感じています
出典:YOASOBIのAyase
屋代氏も、Twitterのスタッフアカウントの運営を担当していることもあり、この半年で若年層ファンの間に楽曲が浸透しつつあると確かな手応えを感じているという。
従来の地上波発信型、メディアミックス型、音楽フェス発信型に加え、TikTokとYouTube、SNS、ストリーミングが連動して新しいヒットが生み出されるパターンが日本でも確立
YOASOBI「あの夢をなぞって・Tracing that Dream」
【YOASOBI】コンポーザーAyaseの知られざる特技
yoasobi 楽曲制作現場(ちょっとだけですけど)