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水素を取り出すには大量の電気が必要?
更新日: 2021-05-27 17:44:27
水素エネルギーとはどのようなもので、どのように生産されるか、水素エネルギーの利用方法、利点やデメリットなどについてまとめます。
もくもく
EV FCB 未来のエネルギー +
水素エネルギーとは何か?
水素エネルギーとは、エネルギーとして活用する水素のことです。エネルギー資源として水素を活用する社会は水素エネルギー社会、あるいは水素社会と呼ばれています。水素は爆発的に燃焼し、エネルギー変換効率が高いことや、上記のように燃焼の際に二酸化炭素を排出しないという特徴があります。

以上のような性質から、水素は化石燃料に代わる新たなエネルギーとして注目されています。

元素として水素Hをみたとき、水素の元素数は地球表面には酸素、ケイ素に次ぐ3番目で、資源枯渇の心配がありません。水素分子(H2)は常温で気体(水素ガス)ですが、酸素と結合(燃焼)すると水 (H2O)が発生します。

地球表面の水素原子のほとんどは海水の状態で存在しており、水素エネルギーとして使用するには水素分子を工業的に製造しなければなりません。

現在の水素の工業的生産は、化石燃料を使うことも多く、再生可能エネルギーにあたるかどうかは意見の分かれるところですが、将来的には水の電気分解やバイオマスによる水素の大量生産などが期待されています。
水素を取り出すには大量の電気が必要?
化学的に水素を作り出すのは、非常に多くの方法が考えられます。水素は様々な物質を構成する元素であり、それらの物質を化学反応させることで水素を取り出します。

例えば、水素よりもイオン化傾向の大きい金属(アルミニウムなど)と希硫酸の反応で水素が発生します。

しかし、実験室的製法とは違い、工業的製法では安価かつ大量に生産する必要があります。工業的には、電気分解による水素の生産と天然ガスなどと水蒸気を反応させる生産方法が考えられます。

水を電気分解する場合、真水は電気を通さないので水酸化カリウム等の電解質を混ぜてから電気分解します(固体高分子電解法)。

この電気分解の逆の反応を利用したのが、燃料電池です。
水素エネルギーの作り方
製塩の際、海水を電気分解しますが、その副産物として水素が発生します。他にも、水素と炭素から成る物質を高温の水蒸気と反応させることで、水素を取り出すことができます。
水素エネルギーの将来性とは?
ブルネイで水素化プラントが建設され、水素エネルギーのサプライチェーンが開始されています。

これは日本の「次世代水素エネルギーチェーン技術研究組合(AHEAD)」の「有機ケミカルハイドライド法による未利用エネルギー由来水素サプライチェーン実証実験」の一環で、貯蔵・輸送しやすく加工した水素を、日本に輸送しています。

また、「 CO2 フリー水素サプライチェーン推進機構(HySTRA)」に所属する川崎重工は、2019年に世界初の液化水素運搬船「すいそ ふろんてぃあ」を製造し、同年12月11日に進水式を行いました。

「すいそ ふろんてぃあ」は、品質や輸送面の問題からこれまで活用が難しいと言われていた「褐炭」を活用する「褐炭水素プロジェクト」のために製造され、オーストラリアで褐炭から水素を製造したのち、日本に輸送する予定です。

また、余剰電力を水素に変えて貯蔵するシステムとして、清水建設と国立研究開発法人産業技術総合研究所が共同開発した「Hydro Q-BiC」があります。

「Hydro Q-BiC」では、再生可能エネルギーによって作られた余剰電力利用して、水を電気分解することで水素に変えて、水素吸蔵合金に貯蔵します。

水素をエネルギーとして捉え、活用する社会システム・水素社会を実現すべく、既に様々な実証実験が開始されています。
テスラにとって一番厄介な敵は水素?
理論的には水素と酸素の化学反応で発電する燃料電池はCO2を排出せず、内燃機関の代替として理想的だ。ただ、水素を動力とするのは割高になりがちで、中国の供給は化石燃料が中心だ。水素の貯蔵と輸送が難しく、コストはさらにかさむ。
 
FCVのメリットとして航続距離の長さとエネルギー補充の時間の短さは、時代遅れの発想
日本のEV販売台数は極めて少ない。各国が巨費を投じて設置に大わらわの充電ステーションも7700ヵ所(20年5月現在)ほどで、中国の120万ヵ所に比べると、国土や人口の違いを考慮しても少なすぎる。経済産業省が水素燃料電池自動車の製造・普及にこだわっていることもあり、EVへの流れができないのだ。
出典:https://news.yahoo.co.jp/articles/9d2af63113da1757efa5d9092ace486a1ce05865?page=2
 
海外の部品メーカーが早々とEV製造にターゲットを絞って技術力を磨いているのに、日本勢は水素車向け、ガソリン車向け、EV向けの3分野の素材・部品を作り続けないといけない。これでは選択と集中が進まず、EV生産で日本勢が外国のライバル企業に完全に置いていかれるのは必至
FCVでは元の電気エネルギーの半分以上を捨てる
開発に金がかかるわりに、本格的に普及する可能性は非常に低いということだ。

日本では、いまだに、「水素は無尽蔵にあるエネルギー資源」などという勘違いが横行している。

しかし、無尽蔵にあるのは水(H2O)であり、水素(H2)を得るためには電気分解によって酸素(O2)を分離しなければならず、この時に膨大なエネルギーを消費する。

さらに、得られた水素はそのままでは密度が薄すぎて使えない。

トヨタの場合は700気圧に圧縮してタンクに入れるのだが、ここでも100キロ走れる程度の大きなエネルギーを消費する。

最後に、取得した水素を空気中の酸素と再結合させて電気を得て走るわけだが、ここでも40%程度のエネルギーを失う。

つまり、FCVでは元の電気エネルギーの半分以上を捨てることになる。
出典:https://weekly-economist.mainichi.jp/articles/20210105/se1/00m/020/088000d
 
対するバッテリー車の場合は、充放電合わせても損失は10%程度でしかないのだから、勝敗は明らかだ。
テスラ「モデルS」など、実測で500キロを超える車はざらにあり、小型車でも300キロ超が常識
FCVのエネルギー補充時間も実のところ短くはない。

確かに、水素充填時間は5分程度だ。

しかし、水素ステーションが日本中に百数十カ所しかないので、多くの場所で、「最寄り」のステーションまで往復で数時間かかるのが現状である。

しかも、往復して自宅に戻ってきたら、燃料の半分を消費しているという具合だから話にならない。

この水素ステーションを2025年までに320カ所に増やすという計画があるようだが、1カ所の建設に5億円もかかるのでは、はかどるはずはない。

しかも、仮に320カ所が実現したとしても、この程度では「焼け石に霧吹き」ぐらいの効果しかない。
出典:https://weekly-economist.mainichi.jp/articles/20210105/se1/00m/020/088000d
 
そろそろ、EVに集中しないと、「新ゴールドラッシュ」に乗り遅れてしまう。
FCVなどを対象とした水素供給網の課題
多額の建設費と運用費が、水素供給網の拡大を鈍らせていると指摘しています。
 
EVであればコンセントの口さえ設ければどこでも充電できる
EVであれば既存の電力網との連携により、無駄な発電を減らし、電力の効率化をはかれる潜在能力がある。一方でFCVは、水素を製造しなければならない。水素は無尽蔵といわれるが、水素としてどこかにあるわけではない。物質(例えば水や石油)に含まれた水素を分解し、採り出して初めて燃料として使えるのであり、採り出す過程でエネルギーが必要だ。
 
急速充電器の設置にお金がかかるといっても、水素スタンドの建設とは桁が違う
クルマを一個の商品(売り物)としかとらえられない発想はFCVを推進し、クルマが移動手段としてだけでなく社会基盤のひとつにもなるという価値の拡大(そこには自動運転とカーシェアリングも含まれる)を視野に未来を描けばEVになるのである。
 
同じ排ガスゼロ車といっても、エネルギーを補給する設備を拡充するための条件が天と地ほども違うのである。
エンジン車で栄えた20世紀型のクルマづくりや価値しか考えられないでいると、世界人口がさらに増える21世紀には取り残されていくのではないだろうか。
 
結論*火星には水がないので、FCVよりEVかも。

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